【音フェチ】[地声] 童話を読む4 -binaural-【ASMR】

*幕間*

『雪の女王』

むかしむかし、悪魔がカガミをつくりました。

美しいものは醜く、真っ直ぐなものは捩れて見えるカガミです。

「よしよし、良いものが出来たぞ」

天使をからかいたくなった悪魔は、このカガミを持って天へ向かいました。

ところが途中で、悪魔はカガミを落としてしまったのです。

カガミは砕けて散らばり、そのかけらの1つが、大きな町に住んでいるカイという男の子の目に入りました。

ちょうど、仲良しの隣の女の子ゲルダと屋根の上で絵本を見ている時でした。

カガミのかけらが目に刺さったカイは、ずっと仲良しだったゲルダを睨みつけて言います。

「おまえなんか、大嫌いだ!」

カイはそう言うと、走っていって雪の女王に会いました。

「おいで。おまえを待っていたんだよ」

女王はカイをそりに乗せると、北の国目がけて走って行きました。

ゲルダは力イが帰ってくるのを待ちましたが、いつまで待っても、カイは戻ってきません。

「カイちゃんを探しに行こう」

ゲルダは決心すると、人びとにカイの居場所を尋ねました。

「ああ、カイは雪の女王と一緒に行ったよ」

「雪の女王? その人は、どこにいるの?」

「ずーっと北の、世界の北の果てさ」

ゲルダは、雪の女王のいる世界の北の果てを目指して、ドンドン歩いて行きました。

そしてようやく、雪の女王の住んでいるお城にたどり着きました。

「カイちゃんは、どこにいるのだろう」

ゲルダが城の周りをウロウロしていると、1匹のカラスがやってきて言いました。

「その子なら、王女さまと結婚して王子さまになっているよ。連れて行ってあげるよ」

ゲルダがカラスと一緒にお城に入って行くと、ご殿の奥で眠っている王子がいました。

「ああ、カイちゃん」

ゲルダが呼ぶと、王子は目を覚ましました。

よく似てはいるけれど、目を開けた王子はカイではありません。

ゲルダの話を聞いた王子は、馬車を用意してくれました。

そして、馬車で進んでいくゲルダを捕まえたのは、山賊です。

「金を出せ!」

山賊は、ゲルダをしばりあげました。

「放しておやり」

ゲルダのロープを切ったのは、山賊の娘です。

ゲルダは山賊の娘にカイの話をすると、こう言いました。

「北の女の家に行ってごらん」

娘はゲルダをトナ力イに乗せて、北の女の家に行きました。

「雪の女王のご殿には、男の子が1人いる。でも、その子は、何もかもを忘れてしまっているのだ。だからその子がカイだとしても、あんたが誰かわからないだろうよ。それでも行くのかい?」

北の家の女の言葉に、ゲルダはきっぱりと答えます。

「行きます。大好きな力イちゃんに会いにいくわ」

カイは、雪の女王のご殿にいました。

「ぼくはどうしたのだろう。仲良しの友だちがいたはずなのに、その子の名前も思い出せない」

つぶやくカイに、女王が言いました。

「おまえの心は凍ったのだ。ずっと、雪のご殿にいる他ないのさ」

ゲルダは、やっとのことで雪のご殿に着いて、カイを見つけました。

「ああ、力イちゃん、とうとう見つけたわ。会いたかった」

ゲルダは力イに飛びつきます。

「きみは、誰なの?」

尋ねる力イを、ゲルダは揺さぶりました。

「ゲルダよ。力イちゃんの仲良しのゲルダよ」

ゲルダの目から涙があふれて、カイのまぶたを濡らします。

するとその涙が、力イの目から、悪魔のカガミのかけらを洗い落としたのです。

「ああ、ゲルダ。ぼくはここで、何をしていたんだろう」

2人は手をつないで、雪のご殿から出て行きました。

「あんたの仲よしを見つけたのね」

ゲルダとカイを乗せたトナカイに、手を振ったのは山賊の娘です。

「もう二度と、離ればなれになってはいけないよ。ゲルダほど、あんたを大切に思っている子はいないんだから」

娘はカイに言いました。

「わかった。ぼくはずっとゲルダの側にいる」

カイとゲルダは、自分たちの家に帰るまで、ずっと手を握りしめていました。

『もみの木』

むかしむかし、ある森の中に、小さいもみの木がありました。

「あっ、ぼくの頭の上をまた、ウサギが飛びこした。嫌だな、早く大きくなりたいな」

もみの木は上を見上げては、大きい木を羨ましいと思いました。

お日さまが、それを見て言いました。

「焦らないでも良いよ。いつか、嫌でも大きくなるさ。それよりも、若い時を大事にすると良いよ」

でも小さいもみの木には、その意味がよくわかりません。

クリスマスが近づくと、森の若い木が次々に切られました。

「ねえ、スズメさん。あの木たちは、どこへ行くんだい?」

「あれは、クリスマス・ツリーになるのさ。キラキラしたモールや玉で飾られて、そりゃあ、綺麗になるのさ」

「ふうん。ぼくも、早くそんな風になりたいなぁ」

それを聞いて、お日さまは言いました。

「この広々とした森で、お前は若い時を楽しんでおくと良いよ」

やがてもみの木は大きくなり、美しい枝を広げました。

とうとうある年の冬、木こりがこのもみの木に目をとめました。

「やあ、クリスマス・ツリーにぴったりだ」

もみの木は切られて町に運ばれ、ある家に買われました。

絵や置物のある立派な広間に、もみの木は置かれました。

「さあ、ツリーを飾ろう、綺麗に飾ろう」

子どもたちのはしゃぐ声が、聞こえます。

もみの木は、胸がドキドキしてきました。

「あっ、鈴がついたぞ。ロウソクも灯った。サンタクロースの人形もいる。星もあるぞ」

自分につけられる飾りに、もみの木は目を見張りました。

「メリー・クリスマス!」

子どもたちはツリーの周りで歌ったり、踊ったり、その賑やかな事。

そしてみんなで、クリスマスプレゼントの包みを開きました。

「わーい、良いな、嬉しいな」

「これ、わたし、欲しかったの」

しばらくして子どもたちは、ツリーの飾りも分けてもらいました。

鈴だの、モールだの、それぞれが好きな物をもらいました。

次の朝、この家の使用人が枝だけになったもみの木を、屋根裏部屋に片付けました。

「暗いし、一人で寂しいな。それに寒い・・・」

もみの木が、ブルッと身振るいした時です。

ネズミが、飛び出してきました。

「あっ、もみの木さんだ。クリスマスは終わったのね。ぼくたちに、昨日の話を聞かせてよ」

「うん、じゃあ、聞いてね」

もみの木は、少し元気が出てきました。

クリスマスの話を色々としたあと、自分が育った森の事も話しました。

「面白いね。それで? それから?」

ネズミたちは、熱心に耳を傾けました。

でもいく日かすると飽きてきて、

「もっと、別の話が良いよ。ベーコンやチーズがあるところは、どこかとか」

「そんな事は、ぼく知らないんだ」

「つまんないの、じゃあね」

ネズミたちは、どこかへ行ってしまいました。

もみの木は、また一人ぼっちです。

ある日、使用人が屋根裏部屋に上がってきました。

もみの木は引きずられて、中庭へ出されました。

「ああ、花が咲いている。鳥も歌っている。やっぱり外の空気は、良いなあ。何か良い事が、起こりそうだ」

もみの木は喜びましたが、それどころではありません。

もみの木はコーン、コーンと、いきなりオノで切られて、薪にされてしまったのです。

薪になったもみの木は、台所のカマドにくベられてパシパシと燃え始めました。

「ああ、何もかもお終いだ。お日さまが若い時を大事にしろと言ったのは、こういう事だったんだ」

もみの木は深いため息をつき、音をたてて燃えていきました。

『塩のように好き』

むかしむかし、ある国の王さまが旅に出る時、三人の娘に訪ねました。

「王女たちよ。おみやげは何が良いかね?」

すると、1番目の王女と2番目の王女が言いました。

「わたしは、絹のドレスがほしいですわ」

「わたしは、真珠の首飾りをお願いします」

そして最後に、末の王女が言いました。

「わたしは魔法のほら穴のそばに立つ、木の枝を一つお願いいたします」

魔法のほら穴のそばに立つ木の枝は、魔法の杖になるのです。

「では行ってくるから、おみやげを楽しみにしていなさい」

王さまは旅に出かけると、約束通り三人の娘におみやげを持って帰ってきました。

「どうだい、嬉しいかね。お前たちはわしがどのくらい好きか、言ってごらん」

「わたしの命と、同じくらい好きですわ。お父さま」

「わたしの宝物より、もっと好きですわ。お父さま」

1番目の王女と2番目の王女は、そう答えました。

そして末の王女は、魔法の木の枝をもらって言いました。

「わたしはお父さまが、塩と同じくらい好きですわ」

それを聞いた王さまは、びっくりです。

「なに、塩だと!このわしを、塩と同じぐらいしか好きでないと言うのだな。そんな娘は、とっとと出て行け!」

「お父さま、わたしにとって塩は… 」

「うるさい! 出て行け!」

王さまに追い出された末の王女は魔法の木の枝を持つと、泣きながらお城を出て行きました。

追い出された王女が森をトボトボ歩いていると、向こうからヒツジ飼いの娘が来ました。

王女は涙を拭きながら、ヒツジ飼いの娘に言いました。

「娘さん。あなたの着ている毛皮とわたしのドレスを、取り替えてくださいな。わたしはお城を追い出されて、自分の力で生きていかなくてはならないの。ドレスは、いらないの」

ヒツジ飼いの娘は驚きましたが、自分のボロボロ毛皮と王女のドレスを取り替えてあげました。

王女はボロボロの毛皮を着ると、また歩き出しました。

そして途中で馬車に乗った人に道を教えてもらい、となりの国へ行きました。

となりの国へ行った王女は、となりの国のお城で働く事にしました。

となりの国の王さまはまだ若く、これからお妃さまを選ぶためのパーティーを開くところでした。

それを知った王女は、王さまの近くへ行くとわざとぶつかりました。

「これ、気をつけなさい。毛皮の娘よ」

「ごめんなさい」

王女は顔を見せないようにして、謝りました。

そしてお城を抜け出して自分の小さな部屋に行くと、ボロボロの毛皮を脱いで魔法の木の枝をふりました。

「魔法のつえよ、魔法のつえよ。うす桃色の絹のドレスと、二頭立ての馬車が欲しいの」

するとたちまち、裸だった王女はうす桃色のドレスを着ていました。

そして外には、白い二頭の馬と馬車が待っていました。

王女は馬車に乗ると、お城の広間へ行きました。

うす桃色のドレスを着た王女が現れると、みんなはその美しさに声をあげました。

「なんと、美しい人だ」

「どこの国の王女さまだろうか?」

するとそれに気づいた若い王さまが、王女にダンスを申し込みました。

王女は羽のように軽く踊り、咲たての花のような笑顔で微笑みました。

王さまはすぐに、王女のことが好きになりました。

「あなたは、どこの国の王女さまですか?」

「わたしは、毛皮の国の王女です」

王さまは王女に指輪を贈り、明日の晩も必ず来てくれるようにと言いました。

次の夜、王女は青いラシャのドレスを着て、4頭立ての馬車で出掛けました。

王さまは王女に首飾りを贈り、明日の晩も来てくれるように頼みました。

次の夜は、王女は黒いドレスで、6頭立ての馬車でお城へ出掛けました。

王さまは、王女とダンスをしながら言いました。

「お妃を決めるパーティーは、今夜でお終いです。なぜならわたしのお妃が、決まったからです。どうかわたしと、結婚してください」

けれど王女はニコニコ笑うと魔法の木の枝をふり、風のように6頭立ての馬車を走らせて帰ってしまいました。

好きになった王女に逃げられた王さまは、その日から寝込んでしまいました。

王さまが何も食べなくなったので、召使いたちは王さまの体を心配しました。

すると毛皮を着た王女が、料理長に頼みました。

「わたしに、ケーキを作らせてください。わたしのケーキを王さまが一口でも食べたら、きっとお元気になられますわ」

料理長は、「じゃあ、一度だけだぞ」と、ケーキの材料を揃えてくれました。

王女は手早くケーキを作り、王さまのもとへ届けてもらいました。

「王さま、ケーキをお持ちしました」

召使いの娘が王さまに言いましたが、王さまはケーキを食べようとはしません。

「王さま、少しでも食べないと、体に悪いですよ」

「…そうだな」

王さまはベッドの中で、王女の作ったケーキにフォークを刺しました。

するとケーキの中から、毛皮の国の王女にあげた指輪がコロリと出てきたのです。

王さまは目を輝かせて、召使いの娘に命じました。

「このケーキを作った者に、もう一度ケーキを作らせよ」

ふたたびケーキを作ることになった王女は、今度はケーキに首飾りを入れておきました。

そしてその首飾りを見つけた王さまが、召使いに言いました。

「間違いない。このケーキを作った者を、ここへ連れてまいれ!」

「しかし。王さま、このケーキを作ったのは、汚い毛皮娘ですよ」

「汚い毛皮娘?そういえば、バーティーの最初の晩、わたしにぶつかったのはボロボロの毛皮を着た娘は。… そうだったのか!それで良い。早くここへ」

王さまがそう言った時、部屋の扉が開きました。

そこに立っていたのは、まっ白なドレスを着た美しい王女です。

王さまは涙を流して喜び、そして家来たちに言いました。

「結婚式だ!すぐに用意しろ!」

若い王さまと王女は結婚することになり、色々な国の王さまたちが結婚式に呼ばれました。

その中には王女のお父さんもいましたが、まさか自分の娘の結婚式とは知りません。

色々な国の王さまたちの前に、料理長が腕をふるったごちそうが並べられました。

色々な国の王さまたちは、

「美味しい、これほど美味しい料理は始めてだ」

と、言って、喜んで食べ始めました。

王女のお父さんも、出されたごちそうを口に運びました。

しかしその途端に、お父さんは変な顔をしました。

「…なんだ、この料理は?」

王女のお父さんが食べた料理には、全然味がしなかったのです。

なぜなら王女が、

「あの王さまのお料理には、塩を絶対に入れないでください」

と、料理長に頼んだからです。

その内に王女のお父さんは、自分の料理には塩が入っていないことが分かりました。

すると王女のお父さんは、ボロボロと涙を流しながらとなりの席の王さまに話し出しました。

「わたしの末の王女は、わたしの事を塩と同じくらい好きと言いました。

それを聞いたわたしは怒って、末の王女を追い出してしまいました。

しかし今日、塩の入っていない料理を食べて、塩がどれほど大切な物かを知りました。

そして末の王女が、どれほどわたしを愛していたかも」

その時、結婚する王女が近づいて来て、お父さんの頬っぺたにキスをしました。

「お父さま、わかっていただけて嬉しいですわ」

そして王女は、料理長ににっこり笑って頼みました。

「お父さまのために、わたしの作った料理を持ってきてくださいな」

その料理は塩を上手に使った、とても美味しい料理だったそうです。

*幕間*

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